インタビュー③調査研究員 マメリエ® 「蒸し豆の魅力と山形かわにしの豆をPRする方法」
写真左から:やまがた里の暮らし大学校まめ学部 グランドマメリエ® 鈴木さくさん・マメリエ®1期生遠藤智子さん
豆を通して町をPRし、豊かな食文化や伝統、文化を次世代に繋いでいきたいと考える山形県川西町の外郭団体「やまがた里の暮らし推進機構」が、もっとお洒落に豆の情報発信をしてほしい!と募集したのが、“マメリエ®”=豆の調査研究員。
郷土に古くから伝わる豆料理を次世代に伝承しようと奮闘するグランドマメリエ®・鈴木さくさんと、マメリエ®1期生として、いまの時代にあったレシピ開発、豆関連のグッズ企画などにもチャレンジする遠藤智子さんに、蒸し豆の魅力とPR術についてお聞きしました。
「ばあちゃんの茶の間」にて。
もともとは旅館だったという鈴木さんのご自宅にあった引き札と呼ばれる額などを持ち込んで、
川西町の茶の間の雰囲気を再現。
Q1 マメリエ®として活動を始められたきっかけを教えてください。
【遠藤】
「やまがた里の暮らし推進機構」の交流イベントをお手伝いしていたとき、事務局から「豆に着目した活動を始めたいと思っているから、力を貸してくれる?」と相談されました。
マメリエ®という名前が決まったときに改めて知らせを受け、1期生として参加することに。
活動をしていくうちに、さまざまな豆料理に興味を持つようになり、鈴木さんたちに昔ながらの豆料理のつくり方などを教えていただくようになりました。
【鈴木】
山に囲まれて冬は雪が積もる川西町では、昔から保存の効く豆を育てるのが当たり前だったんです。
私の家では「おかめささぎ」をはじめとした豆を育てていて、煮物や納豆や餅にして食べていました。私らが子どもの頃には、煎り豆に砂糖をまぶしておやつにしていたものです。
豆のことや、豆料理のつくり方などをマメリエ®さんたちに教えているうちに、「グランドマメリエ®」を拝命しました。
自分にとっては、豆はあまりにも身近なものだったので、いまのようにテレビや雑誌に取り上げられて、全国から注目してもらえるなんて想像もつかなかったです。
Q2 「豆の展示会」では、どんなふうに豆の魅力をアピールしているのですか?
【鈴木】
豆を使った料理や餅などの加工品を試食してもらったり販売したりしています。
「上野桜木あたり」でのイベントは今年で3回目ですが、この「ばあちゃんの茶の間」で皆さんとおしゃべりしたり、豆料理や郷土料理のつくり方や「いわれ」を説明したり。
昔話に花が咲くこともありますね。
【遠藤】
山形かわにしで栽培されている40種類以上の豆のサンプルを展示するほか、会場内のディスプレイやスタッフが身に付けるグッズなどにも豆モチーフを使うよう心がけています。
食品としての豆の魅力をアピールすることはもちろんですが、ちがう切り口からも豆に関心を持ってもらえるような仕掛けをして、豆の展示会に参加したことを深く記憶してもらい、後になって豆のことを思い出してもらえたら・・・と願っています。
豆をインテリアグッズやアクセサリーのモチーフとして捉えている若い世代にとっては、
蒸し豆の「写真映えする彩りの良さ」も魅力なのだとか。
Q3 試食では、どのようなものが好評でしたか?
【鈴木】
みそ餅を喜んで食べてもらえたのが嬉しかったですね。
「その家だけの味」があって、母親は目分量でつくっていたけれど、グランドマメリエ®になってからは、どんな配合でどんなつくり方をしたら一番おいしいか、試しながらレシピを決めています。
それでないと、若い人たちに伝えられないから。
【遠藤】
紅大豆®など4色の大豆を使った「蒸しミックス豆」にハーブ塩をかけてお勧めしたら、「今まで、どんな豆も食べられなかった」というお客さんに、おいしいと言っていただけて嬉しかったです。
【鈴木】
紅大豆®は、昔は赤豆と呼ばれていて、地元では「弱っちい(目立たない)」存在だった。
それがキレイな名前をいただいて、全国の人に食べてもらえるようになったんだからねぇ。
Q4 「蒸し豆」をご愛用いただいている理由はありますか。
【遠藤】
なんといっても、手軽でおいしいからです。
鈴木さんのお仕事ぶりを拝見していると、手間ひまを惜しまずに料理すれば、私にも出来るのかしらとも思うのですが、仕事や家事・育児に追われがちな世代は、「乾燥豆を一晩水に浸す」というだけでも心理的なハードルを感じてしまうのが正直なところ。そのハードルをラクラク越えさせてくれるジャンプ台のような存在が「蒸し豆」です。
2015年12月の豆の展示会で、蒸し豆をフィリングにしてスタッフド・バゲットをつくるセミナーを開いたのですが、手間なく、失敗も少なく、しかもおいしく出来てハマりました。これを一度知ってしまったら、もう戻れないわ・・・って(笑)。
Q5 今後の抱負や活動予定を教えてください。
【鈴木】
年寄りだから難しいことはわからないけど、昔、母親に聞いたりしながら地道にやって身に付けてきた豆料理を、一人でも多くの人に伝えたいですね。
【遠藤】
今は、東京マメリエ®さんを含めて仲間も増えてきたので、みんなで力を合わせて、おしゃれでおいしい豆の魅力を知ってもらうために何をすればいいか、知恵を絞っていきます。
手軽に使える「蒸し豆」を活用する機会は、ますます増えるでしょうね。
ていねいな手仕事で豆を愛でるグランドマメリエ®の鈴木さくさん。
「さくさんと同じようにはできません」と謙遜しつつも、豆の魅力をより多くの人に届けたいと熱っぽく語る遠藤さん。
豆を通して川西町をPRすることを目的として生まれたイベントが、いまや全国の豆ファンが交流する場へと進化した背景には、マメリエさんたちの知恵と情熱、そして愛情があったのだなぁと伝わってくるお話でした。
- やまがた里の暮らし推進機構
- 住所:〒999-0214 山形県東置賜郡川西町吉田4690 川西町交流館
- 電話:0238-54-3006
- URL:http://satonokurashi.jp
- e-mail:info@satonokurashi.jp
- facebook:やまがた里の暮らし大学校 まめ学部