大豆をまるごと食べる蒸し大豆・納豆・水煮豆の違いとは?


大豆はおからを取り除かずまるごと全部食べるのが良いと言いますが、まるごと大豆が食べられるもの同士ではどんな差があるのでしょうか?
今回は、「まるごと大豆」の代表選手、蒸し大豆、納豆、水煮(ゆで)大豆を比較しました。

納豆

日本の食卓の定番「納豆」。毎日のように食べているという方も多いのではないでしょうか?
納豆は、発酵することで増える栄養素があり、他の大豆製品に比べビタミンKや葉酸が多く含まれています。発酵食品=腸内環境に良いと注目されることも増えています。
ごはんとの相性もよく、おかずの一品として食べやすいことも特徴ですね。

納豆

しかし、万能と思える納豆にも意外な落とし穴があることをご存知でしょうか?
実は納豆には、発酵の過程で分解してしまう栄養素があるのです。

その1つめが、「オリゴ糖」。
大豆に含まれるオリゴ等は、腸内の善玉菌のエサとなって、便秘解消や腸内環境を改善する働きがあることが知られています。近年、「オリゴ糖入り」の食品を見かけることも多くなったので、ご存知の方も多いのではないでしょうか?オリゴ等は、納豆菌のエサとして使われ、分解されてしまいます。

そして、2つめは、「β-コングリシニン」。
聞きなれない成分ですが、実は大切な大豆パワーのひとつ。βーコングリシニンは内臓脂肪や中性脂肪に効果的とされている成分です。これも納豆の発酵の過程で多くが分解されてしまいます。

β-コングリシニンとは?

従来より、大豆たんぱくにはコレステロールの低減効果があるとされてきましたが、もう1つの主要たんぱく成分「β-コングリシニン」の存在が突き止められ、これがメタボリックシンドロームの元凶である内臓脂肪や中性脂肪を効果的に低減させることが研究でわかっています。

女性のおなか

水煮大豆

缶詰やレトルトパウチでよく売られている水煮(ゆで)大豆。
味付けしていないので色々な料理に入れられ、使い方は蒸し豆と似ています。

水煮大豆

水煮大豆もおからなどを取り除くことがないため、食物繊維などが残ります。
しかし、長時間にわたって水(湯)のなかで調理するため、大豆に含まれる水溶性の成分が溶け出してしまいます。

例えば、イソフラボンは、蒸し大豆にくらべてこんなに差が。

イソフラボン含有量(100g中)は水煮大豆62mg、蒸し大豆120mg(データ:日本食品分析センター)。蒸し大豆のイソフラボンは水煮大豆の約2倍。

栄養成分だけではありません。おいしさにも大きな違いが出てしまいます。
栄養素や機能性成分は「味」を構成しているものでもあります。水煮大豆はそれらが溶け出してしまっているので、味はどうしても薄く、水っぽくなってしまいます。

黒豆についても同様です。大豆と黒豆の違いは、黒い皮に含まれる「ポリフェノール」。近年の研究で、黒豆のポリフェノールのひとつの「アントシアニン」という成分が注目されるようになりました。このアントシアニンも水に溶ける成分なので、ゆでると少なくなってしまいます。

蒸し大豆

大豆をまるごと、シンプルに蒸しただけ。だから、栄養やおいしさが大豆のなかに残っています。
そのまま食べてもおいしく、味付けのされていないものが多いため、サラダやスープといった素材の味が活きる料理にも使いやすいのも特徴です。

蒸し豆

蒸すと栄養やおいしさが残るのはなぜなのでしょうか?
その秘密は、水の中で調理せず、蒸気で調理していることにあります。

水煮大豆より蒸し大豆のほうが栄養・おいしさが残ります。

大豆には水溶性の栄養成分が含まれているので、それらが流れ出さずに残るというのが理由です。また、発酵などの過程もないので、自然が育んだ大豆の姿そのままに一番近い状態とも言えますね。

市販品の蒸し大豆の多くは常温保存ができるので、持ち歩きにも便利。毎食まるごと大豆を食べたいけど、会社や学校に納豆は持って行きにくい・・・。こういうとき、蒸し大豆なら、においや保存も気になりません。
汎用性が高く、大豆本来の栄養も保っている、まさに「まるごと大豆の優等生」というべき存在です。

まとめ

大切なのは、どういう目的で大豆を食べようと思っているのか。そして、それに合っているのはどの大豆製品なのか、賢く選ぶことです。今回は、そのヒントとなる「まるごと大豆」の代表選手の比較をお話しました。
せっかく大豆製品を摂ろう!と決心したら、効率よく大豆のよいところを取り入れたいですね。


蒸し豆のチカラ