青江誠一郎先生コラム③食物繊維が不足すると腸内細菌が減る


青江誠一郎先生(栄養学者・食物繊維)に聞く 意外と知らない「豆と食物繊維」の話

青江誠一郎(あおえせいいちろう) 栄養学者(食物繊維)。大妻女子大学家政学部教授。日本食物繊維学会副理事長。
青江 誠一郎(あおえ せいいちろう)
栄養学者(食物繊維)
大妻女子大学家政学部教授。日本食物繊維学会副理事長。食物繊維の機能性、消化管機能、メタボリックシンドロームなどを研究。2007年日本栄養改善学会学会賞受賞、2008年日本酪農科学会賞受賞、2010年日本食物繊維学会学会賞受賞。

食物繊維は腸内細菌のエサ、摂らないと腸内細菌が減ってしまう

青江先生に聞く意外と知らない豆と食物繊維の話

ヒトの腸内には約1000種類、100兆個の腸内細菌が棲みついています。
なんとこれは人間の細胞よりも多い数で、それだけたくさんの細菌がみなさんの腸の中にいるのです。

この腸内細菌は、エサである食物繊維やオリゴ糖を食べることにより増殖します。そして、「短鎖脂肪酸」を生み出していきます。
この「短鎖脂肪酸」は全身に機能して良い影響を与えていきます。
例えば、脂肪細胞にあるセンサーに働きかけて、脂肪を作らず分解しようとします。また、交感神経節に働きかけて食欲をコントロールしたり、免疫組織のセンサーに働きかけてその機能を調整したりもします。

それでは食物繊維を摂取しないと、どうなるのでしょうか。
食物繊維の摂取量が減るということは、腸内細菌にとってはエサ不足となります。そうすると、腸内細菌自体の数も減っていきます。
短鎖脂肪酸も、生み出してくれる腸内細菌が減ることにより数が減っていきます。その結果、体への良い影響も低下していくことになるのです。

腸内細菌は食物繊維とオリゴ糖をエサとして摂取して増殖。また、代謝産物として短鎖脂肪酸などを生み出す。

子どもの腸内環境はお母さんの腸内環境そのもの

食物繊維を摂取しないと、腸内細菌はどんどん減っていくとお話しました。このことは特に女性には気をつけていただきたいと思います。
なぜなら、お母さんが出産時に持っている腸内細菌は、出産時にそのまま同じものが子どもに移されていくからです。
お母さんが1,000種類の腸内細菌を持っていれば、その1,000種類を子どもが受け継ぐことになります。
しかし、もしお母さんが食物繊維をあまり摂らずにいて400~500種類に減っていた場合、生まれつき腸内細菌が少ない子ども、お母さんと同じく400~500種類しか持たない子どもが生まれてくることになります。
さらにその子どもも食物繊維をあまり摂らなければまた腸内細菌は減ってしまい、その状態が代々続いていくと、どんどん腸内細菌が減少していくことになります。
そして腸内細菌が少ない状態で生まれてきた人の場合、せっかくそのエサとなる食物繊維を摂取したところでおなかの調子はよくならない、といった残念なことになってしまいます。

お母さんとあかちゃん

強いスポーツ選手は腸内細菌の種類が多い

スポーツ選手でも、腸内細菌の種類が多い選手の方が強いといわれています。

これは実際に、ラグビー選手で調査をし、そのことが実証される結果が出ています。
例えば、腸内細菌の種類が多い選手は、遠征先でおなかを壊すことなどがありません。
おなかの調子が悪ければ、すぐに体調が崩れ、パフォーマンスの低下に繋がります。

このようなことから、“腸内細菌の種類を増やすことでスポーツ選手を強くしよう”という強化活動のプロジェクトもあります。日本ではJリーグがやっています。
オリンピックに向けた選手の成績向上や強化方法の1つとして、腸内環境を良くする食材を活用した商品開発が出来れば面白いですね。

サッカー選手

青江誠一郎(あおえせいいちろう) 栄養学者(食物繊維)。大妻女子大学家政学部教授。日本食物繊維学会副理事長。
青江 誠一郎(あおえ せいいちろう)
栄養学者(食物繊維)
大妻女子大学家政学部教授。日本食物繊維学会副理事長。食物繊維の機能性、消化管機能、メタボリックシンドロームなどを研究。2007年日本栄養改善学会学会賞受賞、2008年日本酪農科学会賞受賞、2010年日本食物繊維学会学会賞受賞。

蒸し豆のチカラ