栄養学者(食物繊維)
青江誠一郎先生コラム④レジスタントスターチを多く含でいるのは豆
栄養学者(食物繊維)
レジスタントスターチは“消化されにくいでんぷん”のこと
レジスタントスターチ(RS)は消化されにくいでんぷんのことを言いますが、RS1からRS4の4種類に分かれています。
RS1は、もともと消化されにくい細胞壁などでつつまれていて、物理的に消化されません。
RS2は、でんぷんそのものが構造上消化されにくいものです。
RS3は、老化でんぷんといいます。一度あたためてα化したでんぷんは消化しやすくなるのですが、それが冷えて老化すると、レジスタントスターチが生み出されます。
RS4は、化工でんぷんです。わざわざ化工して作り出したレジスタントスターチです。
ちなみにポテトサラダは、温かいうちにはそのでんぷんのほとんどが消化されてしまいますが、冷えると2~3割が消化されないレジスタントスターチになります。
<レジスタントスターチの分類>
あらゆる食材の中で、レジスタントスターチが一番多いのは豆
レジスタントスターチを多く持つ食材にはどういったものがあるでしょうか。
調理済みのもの、特に調理済みインゲン豆に多く含まれています。調理済み豆にも多いです。そのほかでは、冷めたじゃがいもにも。比較してみると、穀物にはあまり含まれておらず、豆に多いことが分かります。
<食品中のレジスタントスターチ量>
レジスタントスターチは腸の奥ではたらく
通常、食事を摂ると、でんぷんは小腸で消化吸収されます。
しかし、レジスタントスターチは消化されにくいでんぷんですので、大腸まで運ばれていきます。しかも発酵が遅いので、その後も大腸のずっと奥まで届き、そこで待ち構えているビフィズス菌(嫌気性のため腸の奥に存在)のエサになります。その結果、短鎖脂肪酸が生み出され、全身に機能して良い影響を与えていきます。
大腸の奥まで食物繊維を届けようと思うなら、レジスタントスターチが有効です。
レジスタントスターチは大腸の奥に届くまで何の働きもしませんので、一時は「消化もされず一体何の役に立つのだろう」といわれていましたが、最近になって腸の奥で作用する素晴らしい食材といわれるようになりました。
水溶性食物繊維+不溶性食物繊維+レジスタントスターチ=完璧な腸内環境
レジスタントスターチ単独だと腸全体の発酵が望めないので、さらにプラスして、途中で発酵する他の食物繊維も一緒に摂取した方がいいでしょう。
私のおすすめは、大腸の入り口で発酵する食材、たとえば「ごぼう」(水溶性食物繊維)、中ほどで発酵するβ-グルカンの「大麦」(水溶性食物繊維)、奥で発酵するレジスタントスターチの「豆」(不溶性食物繊維)を一緒に摂ることです。
これは最高の組み合わせで、完璧な腸内環境を作ることが期待できます。
<レジスタントスターチの腸内での働き(代謝メカニズム)>
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